東方の三賢者・第一回



志摩子「ごめんなさい・・・お姉さま、私、もう・・・」
聖「志摩子!?しっかりしなさい、目を閉じちゃ駄目よ!」
志摩子「ああ・・・。お姉さま、せめて私の唇に血の通ううちに、思いをかなえてくださいますか・・・?」
聖「そ、そんな弱気なこと言わないでよ!」
志摩子「お姉さま・・・」
聖「志摩子・・・わかったわ」
志摩子「うふふ・・嬉・・し・・・・」
聖「!?志摩子?――目を開けなさい、志摩子、お願い私を置いて行かないでーっ!!」


**


暗闇にひっそりと灯る明かり。
深夜0時、ここは「どこかの」薔薇の舘。
江利子「『凍りつく非情の山に、吹きすさぶ残酷な風を切り裂いて、聖の悲嘆はいつまでも響き渡っていた』」
聖「・・・ちょっと待ちなさいよ」
江利子「え?」
聖「せっかくの第一回なのに。何一人で勝手な妄想を展開してるのよ」
江利子「第一回だからじゃないの。何かこう、人の心をわしづかみにするイベントみたいなものが欲しいじゃない」
聖「あんたの頭の中だけのイベントでしょう!とにかく、こんなところ蓉子に見られたら・・・」
蓉子「さっきからいるわよ」
聖&江利子「ぎゃっ!?」
蓉子「あら、怪獣が二体」
聖「これは総司令、お久しぶりです」
江利子「お待ちしておりましたわ総司令」
蓉子「一部ではそう呼ばれてるらしいわね(苦笑)・・・。とにかく、記念すべき第一回のテーマは『百合』よ」
聖&江利子&蓉子「ごきげんよう」

江利子「そうそう。百合について個人的考察を深めていたら、冒頭の妄想につながっちゃったのよね。不可解だわ・・・」
聖「江利子さあ。在学中にも、ここに座ってつまんなそう顔をしながらそんなこと考えてたわけ?」
江利子「あら、意外と面白いものよ。薔薇の館で三年弱、小説の十や二十は描けそうなネタを蓄えさせてもらったわ」
蓉子「・・・自分がどんな妄想にさらされていたのか、知りたくはないわね・・・」
江利子「ちなみに、令はもう三回死んでるから」
聖「令・・・(涙」

蓉子「とりあえず、抽象的な分類としても、私たちっていわゆる百合、なのかしらね」
江利子「私には、山辺さんがいるから」
聖「うわ、いきなり脱落!?」
江利子「失礼な物言いね、せめて更正とか言いなさいよ」
聖「だったらもともと百合だったみたいじゃない」
蓉子「二次創作界を見てるとねぇ。私と聖はもう完全に、間違いなく!・・・って前提が成立してるみたいなのよね。複雑だわ」
江利子「しかも、多くの場合は蓉子が聖にゾッコンなのよね」
蓉子「不本意だわ・・・・」
江利子「・・本当に?」
蓉子「ええ」
聖「本当に?」
蓉子「・・・・」
江利子「なんで黙りこむのよ」
蓉子「・・・えへへ」
江利子&聖(ドッキューン)
江利子「あ、頭に銀紙の王冠のせて微笑んだってダメよ!白状なさい」
聖(うっわー凄く可愛いかった・・・・)

蓉子「と、とにかく。完全に説明の順番が前後しちゃったけれど、この『三賢者』のコーナーの主旨はこんな感じで、特に法則性のない主題で私たち三人のトークを聞いていただこう、という」
聖「いちおう、基本的に原作の現在の時間軸で、架空の『電脳』薔薇の館が舞台ということで」
江利子「ただのチャット会とも言うわね」
聖「身もフタもない」
蓉子「にしても、こんな格好(制服)するのも久しぶりね」
聖「だねえ。こんな格好して座ってるとさあ・・・」
江利子「忘れていた愛がよみがえる、二人?」
聖&蓉子「蒸し返すなっ!」
江利子「だって、今回のテーマじゃない」
蓉子「でも、冒頭の江利子の妄想じゃないけど、やはりどこか悲劇的様相を帯びる性質があるような気がしない?」
聖「それは、異性の恋愛でもそうでしょ。こと、テレビドラマや小説、なんでもいいけれど客観的に出会う『他者の』恋愛の場合はさ」
蓉子「そうね。そして、みんな大抵自分以外の恋愛のことしか、わからない」
聖「うん。そして一歩離れて見る分には、ハッピーで持続的な恋愛は終わりが見えないだけむしろ不安なのよ。悲劇の方が思い入れしやすいってこと、あるんじゃないのかな」
江利子「・・・あ」
蓉子「・・・」
聖「なによ、二人して黙っちゃって」
江利子「だって・・・ねえ」
蓉子「ええ・・・」
聖「・・・うん。栞のことでしょ。ずっと触れないように気を使ってくれてたのね」
蓉子「・・・・」
聖「いやいいよ、なんでも聞いてくれて」
江利子「え?」
聖「あれから随分たつし、二人とも、いろいろ知りたいことがあったんじゃないの?」
蓉子「でも・・・」
聖「都合の悪いことには答えないからさ」
江利子「じ、じゃあ・・・」
聖「却下」
蓉子「え、えええ?」
聖「『二人はどこまで?』はNGワードよ。決まってるじゃないの」
江利子「・・・バレたか」
蓉子「図星だったのね」


蓉子「結局、ろくな結論も出ないままだったわね」
聖「まあ第二回もあるかもしれないし」
江利子「どうでもいいけれど、私ってキャラ違ってないかしら。こんなイケイケな扱いなの?これから先」
蓉子「ねえ。なんだか由乃ちゃんみたいだったわよ」
江利子「!」(ちょっとショックらしい)
聖「それでは今晩はお開きということで〜」
蓉子「皆さま、ごきげんよう」
江利子「・・・・うふふ・・」(だんだん嬉しくなってきたらしい)



おしまい

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