東方の三賢者・第二回





何処とも知れぬ地、闇の中に明かりを灯す薔薇の館・・・
聖「雨雨 ふれふれ もっと降れ・・・っと」
江利子「つまみはあぶったイカでいい?」
聖「なんでそう来る!?せめて『蛇の目でお迎え〜♪』の方につなぎなさいよ!」
江利子「昔のテレビ番組で、八代亜紀が出ていて、一般視聴者からの投書かなにかで、『他のチャンネルに廻しても、八代亜紀の歌ってる画面に自動で切り替わってしまう、心霊現象か!?』なんて話をしていたけれど、あれ何だったのかしらね」
聖「知るかっ!いつの話よ」


蓉子「と、いうことで、今回のテーマはアニみて『レイニーブルー』よ」
聖「また何事もなかったかのように・・・」
江利子「今さらアニみての感想?私たちが?」
聖「しかも次回の感想をやるとは限らない、と」
蓉子「よくお分かりね。山百合会の行事をやってるわけじゃなし、これはただのチャット会よ」
江利子「制服着てるけどね・・・。まあそれはともかく、泣いてたわね、祐巳ちゃん」
蓉子「頼むわよ、性さま」
江利子「頼んだわ、性さま」
聖「性さま言うなっ!それに江利子はともかくにして、蓉子はまだ出番があるでしょうに」
江利子「ともか・・く?」
蓉子「まあまあ。・・・にしても、祐巳ちゃんに飛びつかれて柄にもなくびっくりしてたわね、貴方」
聖「いや、だってさあ。原作ではああなる前に一度『ただごとではない』祐巳ちゃんとランデブーする場面があるから、後から現れる祥子を前にしても得心がいくのだけど。いきなりだからね、アニメは」
江利子「あのお日さまみたいな子が、あんなに泣きながら、だからね」

蓉子「・・とは言うけれど、祐巳ちゃんっていわゆる天真爛漫、天然系、みたいな主人公ではないのよね」
聖「うん」
蓉子「原作は彼女の視点だから、彼女の内心の楽しい動きまで読み取れるから。けれど、普通人は外にあらわれる他者しかわからないでしょ。祐巳ちゃん視点でない話を見ていると、意外にも彼女って、口数の少ない、おとなしい女の子の印象があるのよね」
江利子「百面相を除いて、ね」
蓉子「ええ。頭の中でぐるぐる考えて、それが顔に出る、という設定。けれど、彼女の表情を読み取ることについて、祥子は聖ほど得意としていないようなのよね」
江利子「あんなにわかりやすいのにねえ」
蓉子「特にこの雨の6月までは。・・・人と人の距離って、言葉や文字だけで近づくのではない、無意識のうちに観察している相手の息遣い、表情、しぐさなんてものすべて含めて、膨大なデータがいつの間にかつくられて、結果阿吽の呼吸みたいなものが生まれるのだわ。祥子は・・・否応なく学ぶことになるわね、意思をつたえることは易しいことではないと」
聖「さすがね、蓉子。いつも他人の観察ばかりしてるだけのことはある」
蓉子「ホメ言葉と取っておくわ」
聖「だから、たまに気になるのよね。蓉子って、自分に興味があるのかしら、って」
蓉子「それは・・・」
聖「ほら、私でよかったら、話して?」
蓉子「聖・・・・」
江利子「ええ、お取り込み中申し訳ございませんが。(アニみてを見つつ)この、最後の場面で聖の後ろにいる眼鏡の美人さん、ダレー?」
聖「うわあ!?いらんことを!」
蓉子「加藤景さんね。いいお友達らしいじゃない(にっこり」
江利子&聖(コ、コワ〜)

蓉子「でも、本音を言えば。・・・今すぐにでも駆けつけて、抱きしめてあげたかったわ。祐巳ちゃんも、祥子もね。私の腕の中で、幸せになれるものなら」
聖「抱きしめてあげればいいじゃない」
蓉子「・・・うん、そうね」
聖「じゃあ私は、瞳子ちゃんを抱きしめていよう」
江利子「きっといやがるわよ」
聖「違いない」
江利子「由乃ちゃん、出番は一瞬だったけれど、とてもよかったわ」
蓉子「そうね。あの子・・・やさしい子ね」
江利子「なかなかあんな顔見せてくれないのだけど。感動したわー、お祖母ちゃんとして鼻が高い」
聖「同級の子にむける眼差しは、また違うわよ。私たちだって、在学中には先輩だ後輩だっていう括りが邪魔して、なかなかその人となりに接することができなかった・・・そんな気がしない?」
蓉子「そうね。余計に恐れたり、敬ったり、過保護になってみたり・・・高校の三年間なんて、あっという間だわ」
江利子「そうね、あっという間よね・・・」
聖「コラコラ、老け込むなって」
蓉子「なんにしても、祥子もたぶんとらわれているその目線から脱するまで、この6月の雨は続くのね」
江利子「まあ、信じて待ちましょう。私たちの可愛い妹たちのことを」
聖「と、綺麗にまとめてはみたものの。実のところこれって、(元)三薔薇レイニー止めの図」
蓉子「ああ、歯がゆいわ・・・お節介の血が騒ぐ」




おしまい

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