東方の三賢者・第六回お正月編






ここは、OBの集う薔薇の館。
1月1日夜。


聖「あけましておめでとう」
江利子「あけましておめでとう」
聖「あれ、蓉子は?」
江利子「さあ。バッグはあるけど。あ、メモがあるわね」
メモ『あけましておめでとう。ちょっと食べ物か何か、買ってきます:蓉子』
江利子「また、あいかわらず気をまわすわね」
聖「うん♪」
江利子「・・・何してるのよ」
聖「持ち物検査〜」
バッグをかぱ。
メモ『聖。かばんを開けたりしたら承知しないわよ』
聖「・・・」
江利子「一枚上手みたいねえ」
聖「なんの、まだまだ!お、定期入れ発見、男の写真でも入ってないかな〜っと」
かぱ。
メモ『あなたの写真でも入ってるって思った?』
聖「くぅ」
江利子「全部見通されているじゃないの」

江利子「あ、そうそう、聖、今日はあれよ!『なかきよ』よ!」
聖「なによ、突然」
江利子「あれ、面白そうだと思ってたのよね。やってみましょうよ」
聖「ええ?これから?」
江利子「なによ、気の無い返事。いいわ、あなたのも私が書いてあげるから」
聖「いや江利子、これは自分で書かないと意味が・・・」
江利子「『なかきよの〜』♪」
聖「・・・まあ、いいか」

江利子「じゃ、おやすみなさーい」
聖「待て待て。もう寝るわけ?蓉子待たないの?」
江利子「いいからいいから。もう聖の枕の下にも宝舟、入れてあるわよ」
聖「まったく。やる気のあるときだけは作業が早いわね」
江利子「ええと、それから・・・(ロサカニ参照中)。電気は、茶色、と・・・」
聖「いやそれ別にルールじゃないし。祐巳ちゃん限定だから」
電気をぱちり。

ぱちり。
蓉子「・・・・・」
聖「ん?あ、蓉子帰ってきたんだ。これはさあ、江利子が・・・」
蓉子「私の名は水野蓉子。地球は狙われている」
聖「!?」
蓉子「また会おう良い子たちっ!」
しゅたっ。
聖「え、ええ?」

ぱちり。
祐巳「・・・」
聖「あれ、祐巳ちゃんどうしたの?」
祐巳「・・・聖さま」
聖「ほら、どうしたの、顔上げて」
祐巳「あなたは。百面相の少女の伝説をご存知ですか?」
聖「え?何言ってるの祐巳ちゃん。百面相といえば祐巳ちゃん、あなたでしょう」
祐巳「百面相・・・それは・・・」
聖「うん?」
祐巳「・・・・・・・・もしかして、こぉんな顔、だったかしらぁ?」
聖「うわああああ!?祥子!」

聖「いかんいかん、祥子がツインテールにしていたからって悲鳴を上げることはないわよね。失礼だったわ」
ぱちり。
祥子「・・・聖さま」
聖「あ、祥子。さっきはゴメンゴメン、あんまり似合ってなかったものだからさ」
祥子「聖さま、誕生日おめでとう」
聖「いや、もう過ぎてるんだけど」
祥子「聖さま。私、一つだけあなたに聞いておきたいことが」
聖「え、なあに?」
祥子「祐巳の唇は、甘かったですか?」
聖「!?」

ぱちり。
令「誰も知らない知られちゃいけないことですが。私実はホントに男だったんです」
聖「え。い、いやまさか・・・」
令「見ます?」
聖「何をよっ!」
令「男の羞恥を長いスカートに隠して十数年。思えば、苦闘と苦悶の日々でした」
聖「まあ、そうでしょうね」
令「自分で自分をほめたいです」
聖「うーん。それはどうだろう」
令「あと、実は柔道部でした」
聖「なにぃっ!?」

ぱちり。
聖「あ、蓉子、今度はホンモノ?これっていったい」
蓉子「あーばよとっつぁ〜ん!」
しゅたっ。
聖「・・・・・」

聖「ええ、どうせこれは夢よ。夢に違いないのだわ。夢ならもうちょっとマシなものが見たいっていうの。まったく忌々しいわね」

ぱちり。
聖「ま、まさか・・・」
栞「・・・聖」
聖「し、栞・・・」
栞「ヘ〜イ!ナイストゥミートゥ!アッパレジャパニーズオショウガツ!」
聖「・・・・」
栞「オヤ、どうしたアルか?相変わらずシケた顔じゃあねえか兄弟、オレの天使ちゃんよお、カミサマにもらったとびきりのスマイルを見せてくれよぉ」
聖「・・・いいわ」
栞「?」
聖「あなたがどんな栞でも、いいわ。元気なのね、きっと。あなた・・・」
栞「・・・聖」
聖「・・・」
栞「・・・ええ。私・・は」
・・・


ぱちり。
聖「はっ!?」
蓉子「あ、あら、起きたのね、聖」
江利子「おはよう、聖」にやにや。
聖「あ、あれ・・・?あ、そうか、『なかきよ』してて」
江利子「そうよ。思い出した?」にやにや。
聖「・・・その嫌な笑いが気になるんだけど。私、何か寝言言ってた?」
蓉子「・・・え?いや、別に・・・」
聖「あ、後その、なんで私蓉子の膝の上・・なの?」
蓉子「苦しそうだったし・・・」
聖「・・・そう。なんか途中すっごく夢見が悪かった・・・ような」
江利子「あら。やっぱりちゃんとしないとダメなのね」
聖「・・・どういう意味・・はっ!」
枕の下の宝船を取り出し、開く。
『太平の 眠りを覚ます蒸気船 たった4杯で 夜も眠れず』
聖「お、おのれ江利子ー!!」
・・・




おしまい

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